第十一回/2010年 21世紀ケロリン俳句大賞第十一回/2010年 21世紀ケロリン俳句大賞

【選評】

皆様の健康を守り、充実した人生のお手伝いを願う富山めぐみ製薬の21世紀ケロリン俳句大賞も、投句者、読者、さらに広く愛用者各位に支えられて、第十一回を迎えることができました。今回も全国各地から、人間と自然のいのちを見つめる沢山の投句を戴きました。
今回の大賞の渋谷史恵さん、北の国から遠路、陸と海とを越えて渡ってきた白鳥が、目的地の水に浮かんで、まずは疲れを癒すべく眠っている。いのちの営みの美しさです。
優秀賞の石坂寿鳳さん、ある年齢に達しての独りの暮らしは、電灯を灯しても消しても切実に独りであることを思い知らされるもの。そこに渡ってきた雁の声が聞えれば、なおさらです。同じく優秀賞の村越縁さん、甲子園風景でしょうか。勝利投手でなく、敗戦投手に、堂々と戦って敗れたのだから、誇らしく顔を挙げなさい、と言っている。その背後には輝く雲の峰が聳えているのです。
今回から新設の学生の部、ケロリン社長賞の小松佑輝さん、春の昼間の道路の上、人影も路面電車も陽炎のせいでゆらゆらと揺らいで見える。陽炎もいのちと捉えるのが、俳句という最短の詩の流儀なのです。
今回は一般の部を旧仮名遣い、学生の部を新仮名遣いで統一。佳作、準佳作、入選・・・いずれ劣らぬ力作揃いです。

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【審査員】

写真:高橋睦朗氏

高橋睦朗氏 Mutsuo Takahashi高橋睦朗氏 Mutsuo Takahashi

現代日本を代表する詩人のひとり。現代詩のほか、俳句・短歌・小説・脚本など多方面に活躍。俳句関係の著作に『荒童鈔』『稽古』『賚』『花行』『遊行』『十年』『私自身のための俳句入門』『百人一句』『季話百話』『歳時記百話』『詩心二千年』。読売文学賞ほか受賞多数。二〇〇〇年度 紫綬褒章、二〇一二年度 旭日小綬章、二〇一五年度 現代俳句大賞受賞。

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