香蘇散の構成生薬香蘇散の構成生薬

香蘇散は、中国の宋時代に編さんされた医学書「和剤局方」(1107年)に初出されている薬方です。構成生薬は、香附子、蘇葉、陳皮、生姜、甘草となっており、香附子と蘇葉が主薬であることから香蘇散と名付けられました。

写真:蘇葉

蘇葉(日本薬局方:ソヨウ)蘇葉(日本薬局方:ソヨウ)

シソ科シソ属葉及び枝先

効能:健胃、利尿、発汗、鎮咳などの効果のほか気分を明るくする効果がある。

写真:香附子

香附子(日本薬局方:コウブシ)香附子(日本薬局方:コウブシ)

カヤツルグサ科ハマスゲの塊茎

効能:血行をよくし、痛みを鎮める効果があり、月経不順、頭痛、腹痛などに用いる。

写真:陳皮

陳皮(日本薬局方:チンピ)陳皮(日本薬局方:チンピ)

ミカン科ウンシュウミカンの成熟果皮

効能:健胃、鎮咳、去痰、吐き気止めなどに効果があり、発汗作用もある。

写真:生姜

生姜(日本薬局方:ショウキョウ)生姜(日本薬局方:ショウキョウ)

ショウガ科ショウガの根茎

効能:健胃効果が高く、食欲不振、悪心、嘔吐などに用いる。

写真:甘草

甘草(日本薬局方:カンゾウ)甘草(日本薬局方:カンゾウ)

マメ科カンゾウの仲間の根

効能:痙攣や疼痛、咳、動悸などに効果があり、肝機能の強化、解毒作用、抗アレルギー作用などもある。

香蘇散の適応香蘇散の適応

香蘇散は、普段から胃腸が優れず、気分が優れない人が、頭痛、発熱、悪寒などの風邪症状があるときに用います。
体表から病邪を汗で除く発表剤(はつひょうざい)として風邪の初期に服用されています。風邪の初期のほか、お腹の痛みを伴う風邪、気うつや血の道証(肩こり、耳鳴り、頭痛など)、蕁麻疹、神経衰弱、にも適応されています。

血の道証:血の道とは血液の通る血管のことで、月経時、更年期、産後などの女性にみられる頭痛、めまい、精神不安などの諸症状をさします。

香蘇散に適応する諸症状香蘇散に適応する諸症状

諸症状のイラスト

食欲不振/少し熱っぽい/気のふさぎ、精神不安/耳鳴り/めまい/吐き気